フレイルにどのような介入をしていけばいいかを説明していきます。フレイルに対しては身体面、精神面、社会面からの介入ができれば最も良いのですが、今回の説明は身体面のみになります。精神面、社会面に対しては各自治体や他職種の方が取り組まれているものを参考にしていただければと思います。
栄養補助食品
以前参加したNSTの学会で、一日一本の栄養補助食品を追加することで薬剤費を減少させることができるという話を聞いたことがあります。具体的にどれくらい減少させられるか等の詳細を忘れてしまってすいません。これは栄養を足す→フレイルの進行を防ぐ→病気にかかりにくくなる→薬剤費が減少させられるということだったと思います(曖昧ですみません)。まさに「予防は治療に勝る」ということかなと思います。では、フレイルに介入するとしてどうすればいいかですが、まずは上記の通り栄養補助食品を追加するのが良いと思います。ただ、医療用栄養剤は医師に処方してもらう必要があるため、処方がない場合は介入が難しいかもしれません。そんな時、個人的にオススメなのが牛乳です。コップ1杯(200mL)で130kcalほど摂れるので栄養補助食品と大差ないです。牛乳は1Lで200円ほどと非常に安く、ココアなどを足して味を変えることもできるので、牛乳嫌いでなければ誰でも手を出しやすく続けやすいのではないでしょうか。牛乳以外ではヨーグルト、スキムミルクなども栄養を補うのに良いと思います。食事の最後にコップ1杯の牛乳を飲むことで栄養を補うことができます。
リハ栄養
フレイルへの介入は栄養付加だけではなく、運動と組み合わせることで最大限の効果を発揮します。栄養と運動を組み合わせる考え方をリハ栄養と言います。どういう運動をすればいいかと言うと、無理のない範囲で何でもいいです。あるリハビリ病院では集団起立運動というのがあって、毎日入院患者を同じ場所に集めてみんなで椅子から立ったり座ったりを繰り返すそうです。このように、起立・着席を繰り返すだけでも運動になります。もっと動ける人なら散歩でいいですし、動けない人なら姿勢を起こすことでもいいです。寝たきりの人は座位になるだけでも違います。下半身が動かないなら上半身だけ動かしても良いです。人によってできる運動は異なりますが、現状維持ではなく、一つ上を目指してほしいです。運動直後に栄養を摂取することで筋肉量を効率よく増やすことができるという報告もあります。
リハ薬剤
リハ栄養よりももっと新しい言葉・考え方ですが、リハ薬剤という考え方も提唱されています。薬剤師であれば考えたい・知っておきたい概念です。リハ薬剤とは、フレイルの機能・活動などを最大限に高める「リハからみた薬剤」や「薬剤からみたリハ」のことです。ちょっと分かりにくいですが、僕の解釈では、リハビリや食事の中で薬の副作用がそれらに悪影響を与えることがありますが、そのような薬の影響を考慮し、適切な薬物療法にすることをリハ薬剤と捉えています。抗精神病薬の影響で嚥下機能が低下して誤嚥につながったり、特定の薬剤の影響で味覚障害になったり、本当に継続必要か分からない薬を漫然と服用していたり、という症例は薬剤師として経験があるのではないでしょうか。それらに対しての介入が今後もっと必要になってくると思いますし、それを薬剤師がやらなければいけないと思います。
最後に
今回の内容でNSTについての記事は一旦終了となります。いかがでしたでしょうか?これらの内容を参考にして多くの方が栄養について考えるようになってくれると良いと思います。こんな内容を記事にしてほしいなどあればコメントいただけると嬉しいです。フレイルへの介入の第一歩として薬局に身長体重測定器、握力測定器などを置くと患者さんに興味を持ってもらえるかもしれません。これまでの記事では身長体重握力については触れていませんがあくまで自分の健康、体について考えるきっかけとして良いかなと思っています。
今回はここまで。
ありがとうございました。
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