今回はフレイルスクリーニング編です。これまでの内容でNSTについてだいたいのことは分かってもらえたでしょうか?今回は実際に栄養的介入が必要な人をどう見つけたらいいかを説明していきます。調剤薬局でどうしたらいいかという視点で解説します。
フレイルスクリーニング法
フレイルに介入していくためにはフレイルかどうかを確認する必要があります。そのために栄養状態を評価したり、身体計測をしたりするのが一般的です。栄養状態の評価法はいろいろとありますが、調剤薬局で行うこと、フレイルを対象に栄養的介入をしてほしいことを考えるとMNAが良いと思っています。MNAとは簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment)のことで、採血データなどが不要でその名の通り簡単に栄養状態を評価できる方法です。ネスレのホームページから無料でダウンロードできます(ネスレMNAリンク)。6〜12ほどの質問に答えなければいけないのが負担ですが、検査が一切不要な点は良いと思います。対象年齢が65歳以上ですが、フレイルへの介入を目的とするなら問題ないと考えます。その他の簡易的なフレイルチェックとして、指輪っかテスト、イレブンチェックなどがあります。指輪っかテストは両手の親指と人差し指でふくらはぎを囲んで、「囲めない・ちょうど囲める・隙間ができる」のいずれかでサルコペニアの危険度が高いかどうか判定します。あくまで簡易的な評価なのでお楽しみ程度にしか使えないかもしれません。ちなみに僕の指輪っかテストの結果はがっつり隙間ができるのでフレイルリスクが高いということになってしまいます…次にイレブンチェックですが、11の質問に答えてフレイルかどうかを簡易チェックする方法です。11の質問に答えてその点数でフレイルの危険性を判定します。気になる方はそれぞれ調べてみてください。どちらも簡単に調剤薬局で導入できると思います。
指輪っかテスト→エーザイサルコペニアチェックページ
イレブンチェック→東京大学高齢社会総合研究機構サイト
オーラルフレイル
その他のフレイルスクリーニング方法としてオーラルフレイルを紹介したいと思います。オーラルフレイルという言葉を知っていますか?まず、フレイルの要因について図をみてください。
https://www.igaku-shoin.co.jp/paper/archive/y2017/PA03216_01
フレイルは身体的、精神的、社会的要因の悪化によって進行するため、フレイルスクリーニングはそれらの要素を含む必要があり、どうしてもスクリーニングの精度を上げるためには複雑になってしまいます。オーラルフレイルは簡単に言うと「口腔内のフレイル」のことです。口の中が汚い、噛みにくい、食べこぼすなどの症状が現れるとオーラルフレイルと言えるかと思います。オーラルフレイルはプレフレイル(フレイルの前段階)と同じかそれよりも早い段階で現れることが多いため、フレイルスクリーニングとしての役割もあるのではないかと思います。これは個人的にかなりオススメで、口の中を見て、最近の食事環境変化について聞けば介入が必要か判断できるため非常に有効だと思います。
今回はここまで。ありがとうございました。
次回はフレイルへの介入方法についてです。ぜひ次回も読んでいただけると嬉しいです。
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