循環器への苦手意識をなくそう!虚血性心疾患は簡単に理解できる!

スポンサーリンク

みなさん、虚血性心疾患とは何か説明できますか?僕は恥ずかしながら循環器病棟を担当するまではなんとなくしか分かっていませんでした。「虚血性心疾患」のようにパッと聞いただけでは分からない言葉は無意識にスルーしてしまっていました。そんな過去の僕と同じような方にむけて虚血性心疾患について説明していきます。

虚血性心疾患とは?

心臓は全身に血液を送ることで酸素と栄養分を供給していますが、心臓自身も例外ではありません。心臓は心臓自身にある血管(冠動脈)に血液を送ることで自身に酸素などを行き渡らせています。動脈硬化の進行によってこの冠動脈に血流障害が起こると心筋に酸素などがいかなくなります。この状態を虚血と言い、これによって起こる病気のことを虚血性心疾患と言います。虚血性心疾患には慢性冠動脈疾患と急性冠症候群があります。簡単に言うと慢性と急性です。動脈硬化が進行すると血管内にコレステロールが蓄積してそこに細胞も増殖して隆起した病変(プラーク)が形成されますが、このプラークが安定してるかどうかが急性と慢性の違いです。慢性はプラークが安定している方で、安定狭心症(労作性狭心症)と冠攣縮性狭心症(異型狭心症)があります。急性はプラークの破綻により急速に血栓形成・狭窄が進行し、不安定狭心症と急性心筋梗塞があります。

慢性冠動脈疾患

経皮的カテーテルインターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)などの血行再建術を行うかどうかは病変部の検査次第で必要か判断するようですが、そうでなければ薬物治療となります。安定狭心症は労作時の酸素需要量の増加により虚血となるため、心拍数を下げ酸素需要を減らす目的でβ遮断薬が第一選択で使用されます。冠攣縮性狭心症は冠動脈が異常収縮するために一時的に閉塞して虚血となります。そのため冠動脈を拡張させる目的でCa拮抗薬が第一選択で使用されます。また、冠動脈を拡張させる目的で硝酸薬もそれぞれに対して使用されます。

急性冠症候群

急性冠症候群には不安定狭心症と急性心筋梗塞があります。急性心筋梗塞は心電図のST上昇の有無からST上昇型心筋梗塞(STEMI:ST elevation myocardial infarction)と非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI:non ST elevation myocardial infarction)に分けられます。STEMI(ステミ)は完全閉塞による病態で最も重症です。発症後できるだけ早期にPCIにより血流再灌流を行う必要があります。NSTEMI(ノンステミ)は閉塞が不完全なので有害事象発症リスクに応じて治療方針が選択されます。そのリスクはTIMIリスクスコア、GRACE ACSスコアなどで評価可能です。不安定狭心症は急性心筋梗塞よりも緊急性は低く、冠動脈造影(CAG:coronary angiography)により有意な狭窄かどうかを評価したうえで必要に応じてPCIを行うようです。薬物治療としては抗血小板薬、硝酸薬、スタチン系薬などが使用されます。

参考資料

虚血性心疾患Minds版やさしい解説

急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)

ぜんぶわかる心臓・血管の事典 [ 古川 哲史 ]

いかがでしたでしょうか?最後まで読んでいただきありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました