看護師にオススメ!医師・薬剤師が薬を効率的に覚えるコツとは?

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今回からは看護師さん向けの薬のお話です。病棟で仕事をしていると「どうやってそんなにたくさん薬を覚えているの?」とよく聞かれます。医師・薬剤師は全ての薬を1:1で覚えるわけではなく、グループで覚えているのでグループの特徴とその薬がどのグループに属するかということを覚えることで効率的に覚えています。本記事ではそれらを紹介していきます。ただし、そのグループが紹介しにくい薬は今回はパスします。紹介しない薬としては抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗がん剤、免疫抑制薬、ステロイド、ホルモン系、痛み止めなどです。

薬には製薬企業が自由につけられる商品名と成分の名前である一般名がありますが、同じグループの薬は一般名の最後が共通しているのでそれも合わせて紹介していきます。また、薬品名は一般名(商品名)で記載します。

  1. 抗アレルギー薬
    1. 抗ヒスタミン薬(-ジン、-チン)
    2. ロイコトリエン受容体拮抗薬(-ルカスト)
  2. 糖尿病治療薬
    1. ビグアナイド系(-ホルミン)
    2. スルホニルウレア、スルホニル尿素、SU(エスユー)薬(グリ-)
    3. 速攻型インスリン分泌促進薬、グリニド系(-グリニド)
    4. α-GI(αグルコシダーゼ阻害薬)(-ボース)
    5. DPP4(ディーピーピーフォー)阻害薬(-グリプチン)
    6. SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬(-グリフロジン)
    7. GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬(-セナチド、-グルチド)
  3. 脂質異常症治療薬
    1. スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)(-スタチン)
    2. フィブラート系(-フィブラート)
  4. 高尿酸血症治療薬
    1. 尿酸生成抑制薬(-キソスタット)
  5. 骨・カルシウム代謝薬
    1. ビスホスホネート(BP)製剤(-ドロン)
    2. 活性型ビタミンD3製剤(どこかにカルシが入る)
  6. 造血薬
    1. エリスロポエチン(EPO)(-エチン)
    2. G-CSF(ジーシーエスエフ)(-グラスチム)
  7. 抗血栓薬
    1. 抗凝固薬
      1. ヘパリン系(-パリン)
      2. ワーファリンとDOAC(ドアック)(-キサバン)の比較
    2. 抗血小板薬
  8. 降圧薬
    1. Ca拮抗薬(-ジピン)
    2. ARB、ACE阻害薬
      1. ACE(エース)阻害薬(-プリル)
      2. ARB(エーアールビー)(-サルタン)
    3. β遮断薬(-ロール)
    4. αβ遮断薬(-ロール)
    5. α遮断薬(-シン、-ジル)
    6. 配合剤
      1. ARB+Ca拮抗薬
      2. ARB+サイアザイド系利尿薬
  9. 利尿薬
    1. ループ利尿薬(-セミド)
    2. サイアザイド(チアジド)系利尿薬(-チアジド)
    3. K保持性利尿薬
    4. 炭酸脱水酵素阻害薬(-ゾラミド)
    5. バソプレシン拮抗薬(-プタン)
  10. 吸入薬
    1. LAMA(ラマ)
    2. LABA(ラバ)
    3. ICS(アイシーエス)
    4. ドライパウダー型
      1. ディスカス
      2. 吸入用カプセル
      3. タービュヘイラー
      4. エリプタ
    5. 定量噴霧型
      1. レスピマット
      2. エアゾール
      3. エアロスフィア
  11. 消化管潰瘍治療薬
    1. 攻撃因子抑制薬
      1. プロトンポンプ阻害薬(PPI)(ピーピーアイ)(-プラゾール)
      2. H2(エイチツー)受容体拮抗薬(H2ブロッカー)(-チジン)
    2. 防御因子増強薬
  12. 抗不安薬、睡眠薬
    1. BZD受容体作動薬(-ゾラム、-ゼパム)
    2. オレキシン受容体拮抗薬(-レキサント)
    3. メラトニン受容体作動薬
  13. 片頭痛治療薬
    1. トリプタン系薬剤(-トリプタン)
  14. 制吐薬
    1. 5-HT3受容体拮抗薬(-セトロン)
    2. NK1受容体拮抗薬
  15. パーキンソン病治療薬
    1. レボドパ含有製剤
    2. ドパミンアゴニスト
  16. 抗認知症薬
  17. 麻酔薬
    1. 局所麻酔
    2. 全身麻酔
      1. 吸入麻酔(主に鎮静)
      2. 静脈麻酔(主に鎮静)
      3. 麻薬(主に鎮痛)
      4. 筋弛緩薬(筋弛緩のみ)
  18. 泌尿器
    1. 選択的α1阻害薬(-ジル、-シン)
    2. 過活動膀胱治療薬(-テロジン、-フェナシン)
      1. 選択的β3受容体作動薬(-グロン)
  19. 点眼薬
    1. ドライアイ治療薬
    2. 緑内障治療薬
      1. プロスタグランジン関連薬(-プロスト)
      2. β遮断薬(-ロール)
      3. 炭酸脱水酵素阻害薬(-ゾラミド)
      4. α2刺激薬
      5. 配合剤
      6. 抗アレルギー点眼薬(-スチン、-ジン)
  20. 外用ステロイド
  21. 終わりに

抗アレルギー薬

アレルギー症状の原因となるヒスタミン、ロイコトリエンなどの受容体をブロックすることで症状を抑えます。

抗ヒスタミン薬(-ジン、-チン)

一般名 ージンーチン
最も一般的なアレルギーの薬です。副作用も少なくよく処方されます。1日1回と1日2回のものがあります。主な副作用は眠気です。
フェキソフェナジン(アレグラ)1日2回
エピナスチン(アレジオン)1日1回
レボセチリジン(ザイザル)1日1回(小児は1日2回)
ベポタスチン(タリオン)1日2回
オロパタジン(アレロック)1日2回
ビラスチン(ビラノア)1日1回
ルパタジン(ルパフィン)1日1回 など

ロイコトリエン受容体拮抗薬(-ルカスト)

一般名 ールカスト
アレルギー性鼻炎にも使用されますが、気管支喘息に対して補助的に使用されることが多いです。
プランルカスト(オノン)
モンテルカスト(シングレア、キプレス)

糖尿病治療薬

糖尿病は高血糖状態が続くことで血管に障害を与えます。血管の中でも微小血管が影響を受けやすいため微小血管のある神経、目、腎臓(し・め・じで覚えます)に合併症が多いです。糖尿病性網膜症は失明の原因の第二位、糖尿病性腎症は透析導入の原因の第一位です。これらの合併症を発症させないことが糖尿病治療の主な目的です。糖尿病治療薬の内服だけで6グループありますがインスリンを分泌させるかどうかを覚えることが重要です。なぜならインスリンを分泌させる薬は低血糖リスクがあるからです。インスリンを分泌させる薬はSU薬とグリニド系です。

ビグアナイド系(-ホルミン)

一般名 ーホルミン
一般的に糖尿病治療薬の第一選択薬とされています。インスリンを分泌させず低血糖リスクは少ないです。体内で糖を作らせないようにしたり、糖の利用を促進したり、消化管からの糖吸収を抑制したりと色々な効き方をします。腎機能が低下すると減量する必要があります。頻度は少ないですが乳酸アシドーシスという重篤な副作用があります。造影剤と併用することで乳酸アシドーシスのリスクが上がると言われており、造影剤使用前後に休薬することが望ましいとされています。色々な薬と一緒に配合剤としても販売されています。
メトホルミン(メトグルコ)

スルホニルウレア、スルホニル尿素、SU(エスユー)薬(グリ-)

一般名 グリー
インスリンを分泌させる作用のため低血糖リスクがあります。1日1-2回の内服で長時間インスリンを分泌させるため低血糖になった場合は注意が必要です。一度ブドウ糖で血糖を上げても長時間作用しているため再度血糖が下がる可能性があり、数時間単位でフォローする必要があります。
グリクラジド(グリミクロン)
グリベンクラミド(ダオニール)
グリメピリド(アマリール)

速攻型インスリン分泌促進薬、グリニド系(-グリニド)

一般名 ーグリニド
インスリンを分泌させる作用のため低血糖リスクがあります。SU薬と異なり一食分の食後高血糖を改善するための薬で、作用持続時間は短いです。そのため食直前に内服します。食事を摂り始めてから飲むことで効果がなくなるわけではないので飲み忘れた場合は食事中でも内服可です(ただし食事開始後30分以内が望ましいとされています)。インスリンを分泌させるという作用がSU薬と同じなので一般的にSU薬とは併用しません。
ナテグリニド(ファスティック)
ミチグリニド(グルファスト)
レパグリニド(シュアポスト)

α-GI(αグルコシダーゼ阻害薬)(-ボース)

一般名 ーボース
インスリンを分泌させず低血糖リスクは少ないです。糖の分解を抑制し吸収を遅らせることで食後高血糖を改善します。そのため食直前に内服します。副作用として腹部膨満感、おならなどがあります。α-GI内服中に併用薬の影響などで低血糖になった場合、通常の糖は吸収が遅れるので必ずブドウ糖で対応します。ブドウ糖はα-GIの影響を受けずに速やかに吸収されるからです。
ボグリボース(ベイスン)
アカルボース(グルコバイ)
ミグリトール(セイブル)

DPP4(ディーピーピーフォー)阻害薬(-グリプチン)

一般名 ーグリプチン
インクレチンという消化管ホルモンが発見され、そこからDPP4阻害薬が開発されました。インクレチンは血糖が高い時にはインスリン分泌を促進し、血糖が低い時には抑制するというとても都合の良いホルモンです。しかしDPP4により速やかに分解されます。DPP4阻害薬はDPP4を阻害することでインクレチンの働きを高め、血糖を調節します。インクレチンの特徴からDPP4阻害薬による低血糖リスクは少ないです。これらの特徴から非常に多くの糖尿病患者に処方されるため多くの製薬企業が販売しています。1日1回、1日2回、週1回のものがあります。
シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)1日1回
ビルダグリプチン(エクア)1日2回
アログリプチン(ネシーナ)1日1回
リナグリプチン(トラゼンタ)1日1回
テネリグリプチン(テネリア)1日1回
アナグリプチン(スイニー)1日2回
サキサグリプチン(オングリザ)1日1回
トレラグリプチン(ザファテック)週1回
オマリグリプチン(マリセブ)週1回

SGLT2(エスジーエルティーツー)阻害薬(-グリフロジン)

一般名 ーグリフロジン
インスリンを分泌させず低血糖リスクは少ないです。通常、腎臓では電解質や糖を再吸収していますが、糖を再吸収するのがSGLTです。SGLT2阻害薬はSGLT2を阻害することで腎臓から糖を排出させます。その作用機序から慢性心不全や慢性腎臓病にも適応が拡大されつつあります。腎臓から糖を排出させると尿量が増えるので脱水に注意が必要です。また、糖を排出するということはエネルギーを捨てていることになるため低体重の人に使う場合もさらなる体重減少に注意が必要です。
イプラグリフロジン(スーグラ)
ダパグリフロジン(フォシーガ)
ルセオグリフロジン(ルセフィ)
トホグリフロジン(デベルザ、アプルウェイ)
カナグリフロジン(カナグル)
エンパグリフロジン(ジャディアンス)

GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬(-セナチド、-グルチド)

一般名 -セナチド-グルチド
DPP4阻害薬の内容で説明したインクレチンですが、インクレチンにはさらにGLP-1とGIPというホルモンがあります。DPP4による分解を受けにくく作られたのがGLP-1受容体作動薬です。DPP4阻害薬よりも血糖降下作用が強いとされています。開始時、吐き気や嘔吐などの消化器症状に注意が必要です。注射薬が販売されていましたが、2020年6月に内服薬も承認されました。注射は1日1回、週1回のものがあります。
リラグルチド(ビクトーザ)1日1回注射
リキシセナチド(リキスミア)1日1回注射
エキセナチド(ビデュリオン)週1回注射
デュラグルチド(トルリシティ)週1回注射
セマグルチド(リベルサス)1日1回内服

脂質異常症治療薬

脂質異常症はコレステロールや中性脂肪(TG:トリグリセライド)などが一定の基準よりも多い状態のことをいいます。 脂質が多いと動脈硬化を起こしやすくなり、心筋梗塞や脳卒中などのリスクが高くなります。それらの合併症を抑えるために治療されます。

スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)(-スタチン)

一般名 ースタチン
主にLDLコレステロールを低下させます。副作用として横紋筋融解症、筋肉痛、脱力感などがあります。通常1日1回の内服です。LDLの低下効果の違いでスタンダードスタチン、ストロングスタチンがあり、ストロングの方がLDL低下効果が強いです。
スタンダード
プラバスタチン(メバロチン)
シンバスタチン(リポバス)
フルバスタチン(ローコール)
ストロング
アトルバスタチン(リピトール)
ピタバスタチン(リバロ)
ロスバスタチン(クレストール)

フィブラート系(-フィブラート)

一般名 ーフィブラート
主に中性脂肪(TG)を下げる効果がありますが、HDLコレステロールを上げる効果もあります。副作用として横紋筋融解症などがあります。1日1回、1日2回のものがあります。
ベザフィブラート(ベザトール)1日2回
フェノフィブラート(リピディル、トライコア)1日1回
ペマフィブラート(パルモディア)1日2回

高尿酸血症治療薬

血中尿酸値が7.0mg/dL以上で高尿酸血症となります。薬物治療の開始基準は7.0〜8.0で痛風関節炎が生じたことがある場合、8.0〜9.0で生活習慣病の合併症がある場合、9.0以上の場合です。尿酸はもともと体内に一定量貯められています。食事由来のプリン体・生体内のプリン体合成などで尿酸が摂取・合成されますがほぼ同量が体外に排泄されて一定量に保たれています。尿酸の約2/3は腎臓から、残りのほとんどは腸管から排泄されます。薬としては尿酸生成抑制薬と尿酸排泄促進薬があります。尿酸生成抑制薬がよく処方されます。尿酸排泄促進薬は種類が少なく名前が共通していないので省略します。

尿酸生成抑制薬(-キソスタット)

一般名 ーキソスタット
アロプリノール(ザイロリック)
フェブキソスタット(フェブリク)
トピロキソスタット(トピロリック、ウリアデック)

骨・カルシウム代謝薬

骨は破骨細胞が古い骨を壊す骨吸収と骨芽細胞が新しい骨を作る骨形成によって制御されています。これを骨リモデリングといいます。骨粗鬆症の薬は骨吸収を抑制するタイプと骨形成を促進するタイプに分かれます。

ビスホスホネート(BP)製剤(-ドロン)

一般名 ードロン
骨吸収を抑制します。骨の代謝を抑えることになるのでそれによる顎骨壊死という副作用に注意が必要です。服用中に抜歯をする場合、口腔内環境が汚い場合にリスクが高くなります。内服は吸収が悪いので起床時にコップ1杯の水(約180cc)で服用し、服用後30分は横にならずに水以外の飲食を控える必要があります。
アレンドロン(フォサマック、ボナロン)
リセドロン(ベネット、アクトネル)
ミノドロン(リカルボン、ボノテオ)
イバンドロン(ボンビバ)
ゾレドロン(ゾメタ、リクラスト)
ゾメタのみは骨粗鬆症に使用されず、悪性腫瘍による高Ca血症、がん骨転移による骨病変に対して使用されます。

活性型ビタミンD3製剤(どこかにカルシが入る)

一般名 どこかにカルシが入る
腸管からのカルシウムの吸収を高め、骨形成促進につながります。副作用としては高Ca血症に注意が必要です。
アルファカルシドール(ワンアルファ、アルファロール)
カルシトリオール(ロカルトロール)
エルデカルシトール(エディロール)

造血薬

エリスロポエチン(EPO)(-エチン)

一般名 ーエチン
EPOは腎臓で分泌され赤血球の産生を促進します。腎機能が低下するとEPOの分泌が低下し腎性貧血になります。エポエチンアルファ、エポエチンベータはそれを補いますが、ダルベポエチンアルファ、エポエチンベータペゴルはEPOが作用する受容体を代わりに刺激します。これらは全て注射薬ですが、2019年11月にこれらとは作用機序の異なる経口薬が販売開始されました。
エポエチンアルファ(エスポー)
エポエチンベータ(エポジン)
ダルベポエチンアルファ(ネスプ)
エポエチンベータペゴル(ミルセラ)

G-CSF(ジーシーエスエフ)(-グラスチム)

一般名 ーグラスチム

抗がん剤治療で好中球が減少することがありますが、好中球の産生を促進させて好中球を増やす薬です。抗がん剤以外で好中球が減少しても使用できます。ジーラスタ以外は好中球が減少した時に連日使用しますが、ジーラスタは好中球減少を予防する目的で抗がん剤投与の翌日などに単回使用します。
フィルグラスチム(グラン)
レノグラスチム(ノイトロジン)
ナルトグラスチム(ノイアップ)
ペグフィルグラスチム(ジーラスタ)

抗血栓薬

抗血栓薬は血栓ができないようにする薬ですが、大きく分けて抗凝固薬抗血小板薬があります。抗凝固薬は血液の凝固カスケードという連続した反応系によって血液が凝固するのを阻害し、主に静脈血栓を抑えます。抗血小板薬は血小板が凝集して血液が固まるのを阻害し、主に動脈血栓を抑えます。

抗凝固薬

血液の凝固カスケードは複雑で多くの成分(凝固因子)が関わりますが、最終的にはトロンビンによって血液中のフィブリノゲンが不溶性のフィブリンに変わり、フィブリンが凝集して血栓になります。ヘパリン系はアンチトロンビン(トロンビンに拮抗するからアンチトロンビン)に結合することでアンチトロンビンによる凝固因子抑制作用を強めます。

ヘパリン系(-パリン)

一般名 ーパリン
ダルテパリン(フラグミン)
エノキサパリン(クレキサン)

ワーファリンとDOAC(ドアック)(-キサバン)の比較

抗凝固薬の経口薬は長年ワーファリンのみでしたが、DOAC(直接経口抗凝固薬)がワーファリンに代わる薬として登場しました。ワーファリンは効果の指標としてPT-INRをチェックしながら用量を調節しなければなりません。PT-INRのコントロールが難しいこと、納豆などを食べてはいけないことなどが欠点でした。それらの欠点を改善した薬がDOAC(直接経口抗凝固薬)です。ただしDOACは薬価が高いこと、作用時間が短いことが欠点とされることもあります。

ワルファリン(ワーファリン)

DOAC(直接経口阻害薬)

一般名 ーキサバン
エドキサバン(リクシアナ)
リバーロキサバン(イグザレルト)
アピキサバン(エリキュース)
ダビガトラン(プラザキサ)

抗血小板薬

抗血小板薬は作用機序が複数あり、語尾が統一されてはいません。しかし手術の前後で休薬されることがあり、名前だけでも知っておくと良いので羅列します。これらは併用することもありますが、語尾が同じもの同士で併用することはありません。
チクロピジン(パナルジン)
クロピドグレル(プラビックス)
プラスグレル(エフィエント)
チカグレロル(ブリリンタ)
シロスタゾール(プレタール)
イコサペント酸エチル(エパデール)
ベラプロスト(プロサイリン、ベラサス、ドルナー)
サルポグレラート(アンプラーグ)
アスピリン(バファリン、バイアスピリン)

降圧薬

血圧は心臓から送り出される血液の量(心拍出量)と送り出した血管内の血液の流れにくさ(末梢血管抵抗)で主に変動します。これらを下げることで血圧は低下します。Ca拮抗薬は血管を拡張することで末梢血管抵抗を下げるのが主な作用です。利尿薬は血液量を減らして心拍出量を下げることで血圧を下げます。ARBまたはACE阻害薬は体内で血圧を上げるレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系(RAAS)を抑えることで血圧が上がらないようにするのが主な作用です。
第一選択はCa拮抗薬、ARBまたはACE阻害薬とされることが多いです。これらで十分血圧が下がらなければ少量のサイアザイド系利尿薬を使用します。他は治療抵抗性高血圧に追加するかたちで使用しますが、β遮断薬やαβ遮断薬は適応はあるもののあまり降圧目的では使われません。Ca拮抗薬、ARB、サイアザイド系利尿薬は使用頻度が高いので配合剤の種類も非常に多いです。

Ca拮抗薬(-ジピン)

一般名 ージピン
降圧作用強く、禁忌が少ないのでよく使われます。グレープフルーツジュース(GFJ)を飲むと薬の作用が強まるので避ける必要があります。
アムロジピン(ノルバスク、アムロジン)
シルニジピン(アテレック)
ニカルジピン(ペルジピン)
ニトレンジピン(バイロテンシン)
ニフェジピン(アダラート)
バルニジピン(ヒポカ)
ベニジピン(コニール)
マニジピン(カルスロット)
アゼルニジピン(カルブロック)
アラニジピン(サプレスタ)

ARB、ACE阻害薬

Ca拮抗薬ほど降圧作用が強くないですが、心臓や腎臓などの臓器保護作用もありよく使われます。

ACE(エース)阻害薬(-プリル)

一般名 ープリル
痰の伴わない乾いた咳(空咳)が副作用として有名ですが、開始後1〜2週で自然におさまることもあります。
カプトプリル(カプトリル)
エナラプリル(レニベース)
リシノプリル(ロンゲス、ゼストリル)
イミダプリル(タナトリル)
テモカプリル(エースコール)
キナプリル(コナン)
ペリンドプリル(コバシル)

ARB(エーアールビー)(-サルタン)

一般名 ーサルタン

ACE阻害薬よりも降圧作用が強いとされています。
ロサルタン(ニューロタン)
カンデサルタン(ブロプレス)
バルサルタン(ディオバン)
テルミサルタン(ミカルディス)
オルメサルタン(オルメテック)
イルベサルタン(イルベタン、アバプロ)
アジルサルタン(アジルバ)

β遮断薬(-ロール)

一般名 ーロール
降圧よりも脈をゆっくりにする目的で使われることが多いです。
アテノロール(テノーミン)
ビソプロロール(メインテート、ビソノテープ)
ベタキソロール(ケルロング)
メトプロロール(セロケン、ロプレソール)
アセブトロール(アセタノール)
セリプロロール(セレクトール)
ニプラジロール(ハイパジール)
プロプラノロール(インデラル)
カルテオロール(ミケラン)

αβ遮断薬(-ロール)

β遮断薬同様、脈をゆっくりにする目的で使われることが多いです。

一般名 -ロール
アロチノロール(アロチノロール)
カルベジロール(アーチスト)

α遮断薬(-シン、-ジル)

一般名 ーシン、ージル
ウラピジルは降圧以外の目的(排尿障害など)で使われることが多いです。ドキサゾシンは複数降圧剤を使用していても血圧が高い場合に追加されることがあります。
ウラピジル(エブランチル)
ドキサゾシン(カルデナリン)
ブナゾシン(デタントール)

配合剤

降圧薬は非常に多くの方が服用しているため、配合剤の種類もとても多いです。組み合わせと名前だけ以下にまとめます。

ARB+Ca拮抗薬

カンデサルタン+アムロジピン(カムシア、ユニシア)
バルサルタン+アムロジピン(アムバロ、エックスフォージ)
バルサルタン+シルニジピン(アテディオ)
テルミサルタン+アムロジピン(テラムロ、ミカムロ)
オルメサルタン+アゼルニジピン(レザルタス)
イルベサルタン+アムロジピン(イルアミクス、アイミクス)
アジルサルタン+アムロジピン(ジルムロ、ザクラス)

ARB+サイアザイド系利尿薬

ロサルタン+ヒドロクロロチアジド(ロサルヒド、プレミネント)
カンデサルタン+ヒドロクロロチアジド(カデチア、エカード)
バルサルタン+ヒドロクロロチアジド(バルヒディオ、コディオ)
テルミサルタン+ヒドロクロロチアジド(テルチア、ミコンビ)
イルベサルタン+トリクロルメチアジド(イルトラ)

利尿薬

腎臓はネフロンと呼ばれる組織が約100万個あり、その一つ一つで尿が作られています。一つのネフロンは糸球体と呼ばれる毛細血管のかたまりとそれを包むボウマン嚢、及び尿細管からなります。一般成人では糸球体で約150Lの血液が濾過され99%が再吸収されて残りの1%(約1.5L)が尿として排泄されます。利尿薬はその再吸収を抑えることで利尿作用を発揮します。NaやKなどを再吸収することでそれらと一緒に水も引き寄せられます。尿細管は主に近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠位尿細管、集合管という部位に分かれ、それぞれの部位で再吸収が行われています。利尿薬がどの部位に作用するかで種類や特徴が異なります。

ループ利尿薬(-セミド)

一般名 ーセミド
最も一般的な利尿薬です。ヘンレ係蹄(ヘンレループとも言う)にあるNa-K-2Cl輸送系を阻害して再吸収を抑えます。
フロセミド(ラシックス)
アゾセミド(ダイアート)
トラセミド(ルプラック)

サイアザイド(チアジド)系利尿薬(-チアジド)

一般名 ーチアジド
遠位尿細管のNa-Cl共輸送系を阻害して再吸収を抑えます。少量で降圧薬として使われることが多いです。ループ利尿薬での治療抵抗例に併用すると効果が増大することがあり、後からの上乗せで使われることがあります。
ヒドロクロロチアジド(先発品なし)
トリクロルメチアジド(フルイトラン)

K保持性利尿薬

遠位尿細管のNa-K交換系の働きを抑えることで利尿作用を示します。利尿作用は弱いですが他の利尿薬での低Kを補正する目的でよく併用されます。薬の構造が異なるため、名称に統一感がありません。
スピロノラクトン(アルダクトン)
エプレレノン(セララ)

炭酸脱水酵素阻害薬(-ゾラミド)

一般名 ーゾラミド
近位尿細管でNaの再吸収を阻害します。近位尿細管での再吸収を阻害してもその後遠位尿細管などで再吸収が亢進するため長期的な利尿作用はほとんどなく、利尿薬としてはほとんど使用されません。緑内障などで眼圧を下げる目的で一時的に使われることがあります。
アセタゾラミド(ダイアモックス)

バソプレシン拮抗薬(-プタン)

一般名 ープタン
集合管での水の再吸収を抑制します。ループ利尿薬などを服用しても体液貯留のコントロールが困難な場合に適応となります。最も利尿作用が強く、高Na、脱水に注意が必要なので入院中しか導入できません。
トルバプタン(サムスカ)

吸入薬

薬は本来、目的の臓器のみに作用して副作用がないことが理想です。吸入薬は目的の肺に直接届き、全身への副作用が少ないので正しく吸入できれば理想的な薬と言えます。吸入薬は今までの薬と違い、残念ながら覚え方はありません。吸入薬には3つの成分があります。どの薬にどの成分が入っているかを覚えると良いです。様々なデバイス(器具)があり種類も多いので足し算で覚えるのがオススメです。成分名を覚える必要はないので名前、デバイスを覚えましょう。
粉の薬を吸うドライパウダー型と、押すと薬が噴霧される定量噴霧型があります。ドライパウダー型は自分のタイミングで吸えますが、(ラーメンをすする程度の)吸う力が必要です。定量噴霧型は吸う力が弱くても良いですが、押すのと吸うタイミングを合わせる必要があります。

LAMA(ラマ)

副交感神経系を介した気管支拡張作用があります。主にCOPDに対して使われますが、高齢気管支喘息患者にはCOPDが合併していることも多く症例に応じて気管支喘息にも使用されます。

LABA(ラバ)

交感神経系を介した気管支拡張作用があります。主に気管支喘息に使われますが、LAMAのみで効果不十分なCOPDにも使われます。

ICS(アイシーエス)

ステロイドで気管支の炎症を抑制する作用があります。主に気管支喘息に使われますが、LAMA+LABAで増悪を繰り返すCOPDに対しても使われます。ステロイドが口腔内に残っていると口腔内カンジダになる可能性があるので吸入後のうがいまたは食前吸入が必要です。LAMA・LABAは用量調節をしないので吸入薬で規格の記載があればICSを含んでいる可能性が高いです。(例:レルベア100の100のように)

ドライパウダー型

ディスカス

円盤の形をしています。吸入手技として3ステップほど必要なので高齢者には吸入手技が難しいかもしれません。
LABA(セレベント)+ICS(フルタイド)=アドエア

吸入用カプセル

カプセルに穴を開けて吸入します。吸入後にカプセルを見ることで粉がなくなったか確認できるので吸えたかどうかが分かります。誤ってカプセルを飲んでしまったというインシデントに注意が必要です。
LABA(オンブレス)+LAMA(シーブリ)=ウルティブロ
LABA・ICS(アテキュラ)+LAMA(シーブリ)=エナジア

タービュヘイラー

筒状で「クルッ」「カチッ」「スーッ」と3ステップで吸入します。他の吸入薬は長時間作用型なので毎日吸入することで症状を改善させ、すぐに症状を改善させることはないとされていますがシムビコートはこれ1本で毎日の吸入+レスキューができます。この特徴はシムビコートのみです。
LABA(オーキシス)+ICS(パルミコート)=シムビコート

エリプタ

フタを開けるだけで吸入できるため、最も吸入手技が簡単です。
LAMA(エンクラッセ)+LABA・ICS(レルベア)=LAMA・LABA(アノーロ)+ICS(アニュイティ)=LAMA・LABA・ICS(テリルジー)

定量噴霧型

上記ドライパウダー型と比べると種類が少なく単純に足し算できないものがバラバラとあります。基本的に1回に2吸入します。

レスピマット

毎回、半回転させて吸入します。1日1回2吸入で良いです。他の定量噴霧型は1日2回吸入する必要があります。
LAMA(スピリーバ)
LAMA+LABA(スピオルト)

エアゾール

L型で、押すのがやや固いため少ない力で押せるようにする補助器具があります。
ICS(キュバール)
ICS(フルタイド)
LABA+ICS(フルティフォーム)

エアロスフィア

エアゾール同様L型の吸入ですが、従来のものよりも噴霧速度が緩やかで吸うタイミングが合わせやすくなっています。
LAMA+LABA(ビベスピ)
LAMA+LABA+ICS(ビレーズトリ)

消化管潰瘍治療薬

薬の中でも胃薬は特に種類が多いです。胃薬は大きく分けると胃の粘膜を保護する防御因子増強薬と、胃酸の分泌を抑制する攻撃因子抑制薬の2つです(これらに分類されない薬も一部あります)。防御因子増強薬は名前がバラバラなので羅列だけします。攻撃因子抑制薬は作用機序ごとに覚えやすいです。

攻撃因子抑制薬

プロトンポンプ阻害薬(PPI)(ピーピーアイ)(-プラゾール)

一般名 ープラゾール
胃酸はH+が胃の壁細胞からプロトンポンプによって分泌されることでpH1になっています。pH1というのはかなり強い酸性で、胃の細胞にとっても例外なく有害です。そのため胃の細胞は粘膜によって保護されています。防御因子である粘膜と攻撃因子であるH+のバランスが崩れると胃潰瘍などの消化管疾患になります。PPIはプロトンポンプを阻害してH+を減らす攻撃因子抑制薬です。通常1日1回の内服です。H2ブロッカーよりも強く胃酸分泌を抑制するとされています。
オメプラゾール(オメプラール)
ランソプラゾール(タケプロン)
ラベプラゾール(パリエット)
エソメプラゾール(ネキシウム)
新しい機序でのPPIとしてP-CABという薬もあります。PPIと比較して効果発現が早く作用が強いとされています。PPI 同様にプロトンポンプを阻害します。
カリウム競合型アシッドブロッカー(P-CAB) ープラザン
ボノプラザン(タケキャブ)

H2(エイチツー)受容体拮抗薬(H2ブロッカー)(-チジン)

一般名 ーチジン
H+が分泌されるためにはプロトンポンプに分泌刺激を与える3つの経路が知られています。3つの経路にはそれぞれアセチルコリン、ガストリン、ヒスタミンのホルモンが関与しています。H2ブロッカーはその中でヒスタミンH2受容体に拮抗して働き、胃酸の分泌を抑制します。通常1日2回ですが腎機能低下があれば減量が必要です。
ファモチジン(ガスター)
ラニチジン(ザンタック)
シメチジン(タガメット)
ロキサチジン(アルタット)
ニザチジン(アシノン)
ラフチジン(プロテカジン)

防御因子増強薬

名前に共通点なし
防御因子増強薬は名前がバラバラなので羅列だけします。臨床で見ることが多いと思います。攻撃因子抑制薬と併用しても良いですが、必要性は低いと思われます。
スクラルファート(アルサルミン)
エカベト(ガストローム)
テプレノン(セルベックス)
レバミピド(ムコスタ)
アルジオキサ(イサロン)
ソファルコン(ソロン)
アルギン酸ナトリウム(アルロイドG)
ポラプレジンク(プロマック)亜鉛補充で使われることあり(適応外)
イルソグラジン(ガスロン)

抗不安薬、睡眠薬

不安症に対しては選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(エスエスアールアイ)が使用されますが効果発現に時間がかかるため、多くは短期的にベンゾジアゼピン(BZD)受容体作動薬が使用されます。しかしBZD受容体作動薬は依存性が問題となるため漫然と使用しないことが望ましく、必要最小量を短く使用してSSRIなどに切り替えていくことが原則とされています。使用後最短4週間で依存性が形成されます。中止する場合は漸減が望ましいです。BZD受容体作動薬の種類は多いですが、抗不安効果が強いものが抗不安薬として、催眠効果の強いものが睡眠薬として使われます。睡眠薬はオレキシン受容体拮抗薬、メラトニン受容体作動薬が依存性を形成せず安全性も高いとされているのでこれらに切り替えていくのが望ましいです。

BZD受容体作動薬(-ゾラム、-ゼパム)

一般名 ーゾラム、ーゼパム(例外もあり)
抗不安薬
クロチアゼパム(リーゼ)
エチゾラム(デパス)
アルプラゾラム(ソラナックス、コンスタン)
ロラゼパム(ワイパックス)
オキサゾラム(セレナール)
メダゼパム(レスミット)
クロキサゾラム(セパゾン)
ジアゼパム(セルシン、ホリゾン)
クロナゼパム(リボトリール、ランドセン)
ロフラゼプ(メイラックス)

睡眠薬
ゾルピデム(マイスリー)※
トリアゾラム(ハルシオン)
ゾピクロン(アモバン)※
エスゾピクロン(ルネスタ)※
リルマザホン(リスミー)
ブロチゾラム(レンドルミン)
ロルメタゼパム(ロラメット、エバミール)
エスタゾラム(ユーロジン)
フルニトラゼパム(サイレース)
ニトラゼパム(ネルボン、ベンザリン)
クアゼパム(ドラール)
※非BZD系(BZD系薬と化学構造が異なるが、作用機序は同じです。BZD系薬より筋弛緩作用が少なく安全性が高いとされます。)

オレキシン受容体拮抗薬(-レキサント)

一般名 ーレキサント
スボレキサント(ベルソムラ)
レンボレキサント(デエビゴ)

メラトニン受容体作動薬

ラメルテオン(ロゼレム)

片頭痛治療薬

片頭痛は様々な原因から脳の血管が収縮し、その後反動で拡張することで痛みを感じます。その血管拡張に対して血管を収縮させる薬がトリプタン系薬剤の作用機序です。片頭痛が起きた時に頓服で使用します。

トリプタン系薬剤(-トリプタン)

一般名 -トリプタン
スマトリプタン(イミグラン)
ゾルミトリプタン(ゾーミッグ)
エレトリプタン(レルパックス)
リザトリプタン(マクサルト)
ナラトリプタン(アマージ)

制吐薬

5-HT3受容体拮抗薬(-セトロン)

一般名 ーセトロン
主に抗がん剤による吐き気に対して使用します。一部は放射線照射による吐き気にも使われます。1錠・1アンプル当たり1000円ほどと高価ですが、中でもパロノセトロンは遅発期の悪心・嘔吐にも有効で効果が高いため1万5千円ほどします。
グラニセトロン(カイトリル)
オンダンセトロン(ゾフラン)
アザセトロン(セロトーン)
ラモセトロン(ナゼア)
パロノセトロン(アロキシ)

NK1受容体拮抗薬

抗がん剤の中でも催吐リスクが高い場合に他の制吐薬と併用して使用します。内服と注射があり、抗がん剤の各クールで内服は通常3日間(最長5日間)、注射は1日のみ使用します。どちらかしか使用できません。
アプレピタント(イメンド)
ホスアプレピタント(プロイメンド)

パーキンソン病治療薬

レボドパ含有製剤

パーキンソン病ではドパミンが減少しているのでドパミンの前駆体であるレボドパを投与しドパミンを補充します。しかし、レボドパは脱炭酸酵素により体内で速やかにドパミンに変換されます。ドパミンに変換されると中枢へ移行しなくなるため、その反応を抑えるために脱炭酸酵素阻害薬との合剤が使用されます。カルビドパやベンセラジドが脱炭酸酵素阻害薬です。
レボドパ・カルビドパ(ネオドパストン、メネシット、ドパコールなど)
レボドパ・ベンセラジド(マドパー、イーシー・ドパール、ネオドパゾール)
など

ドパミンアゴニスト

一般名 ーペキソールなど
上記のドパミンが作用する受容体をドパミンの代わりに刺激する薬です。
プラミペキソール(ビ・シフロール、ミラペックス)
など

抗認知症薬

アルツハイマー型認知症に対して、軽度であればコリンエステラーゼ阻害薬をいずれか1剤、中等度であればメマンチンも併用、重度であればドネペジルとメマンチンを併用とされています。名前に統一感がなく覚えにくいのが難点です。
ドネペジル(アリセプト)
ガランタミン(レミニール)
リバスチグミン(イクセロン、リバスタッチ)
メマンチン(メマリー)

麻酔薬

局所麻酔と全身麻酔があります。局所麻酔には表面麻酔(皮膚・粘膜の表面に使用)、局所浸潤麻酔(皮下・粘膜下に注入)、伝達麻酔(太い末梢神経幹の近傍に注入)、硬膜外麻酔(脊椎硬膜外腔に注入・分節的脊髄神経ブロック)、脊髄くも膜下麻酔(腰椎くも膜下腔に注入:下半身の脊髄神経ブロック)があります。局所麻酔には構造の違いからエステル型アミド型があり、アミド型の方がアレルギーの発生が少ないです。全身麻酔は鎮静、鎮痛、筋弛緩の3要素で成り立っています。薬によってどの要素に影響するかが異なります。

局所麻酔

エステル型
プロカイン(ロカイン)
テトラカイン(テトカイン)

アミド型
リドカイン(キシロカイン、ペンレス)
メピバカイン(カルボカイン)
ブピバカイン(マーカイン)
レボブピバカイン(ポプスカイン)
ロピバカイン(アナペイン)

全身麻酔

吸入麻酔(主に鎮静)

一般名 -フルラン
イソフルラン(フォーレン)
セボフルラン(セボフレン)
デスフルラン(スープレン)

静脈麻酔(主に鎮静)

チアミラール(イソゾール)
チオペンタール(ラボナール)
ミダゾラム(ドルミカム)
プロポフォール(ディプリバン)
ケタミン(ケタラール)※麻薬
ドロペリドール(ドロレプタン)

麻薬(主に鎮痛)

フェンタニル(フェンタニル)
レミフェンタニル(アルチバ)
モルヒネ(モルヒネ)

筋弛緩薬(筋弛緩のみ)

一般名 -ニウム
スキサメトニウム(スキサメトニウム)
ベクロニウム(ベクロニウム)
ロクロニウム(エスラックス)

泌尿器

選択的α1阻害薬(-ジル、-シン)

一般名 ージル、ーシンなど
排尿障害に対して第一選択薬となります。多くは前立腺肥大による排尿障害という適応なので男性にしか使用できませんが、ウラピジルのみ他の適応があり女性にも保険適応で使えます。交感神経系を抑える作用です。
タムスロシン(ハルナール)
ナフトピジル(フリバス)
シロドシン(ユリーフ)
ウラピジル(エブランチル)

過活動膀胱治療薬(-テロジン、-フェナシン)

一般名 ーテロジン、フェナシンなど
頻尿、尿失禁に対して使われます。副交感神経系を抑える作用で、口渇、便秘などの副作用が出現しやすいです。
フラボキサート(ブラダロン)
トルテロジン(デトルシトール)
フェソテロジン(トビエース)
ソリフェナシン(ベシケア)
イミダフェナシン(ウリトス、ステーブラ)
プロピベリン(バップフォー)

選択的β3受容体作動薬(-グロン)

一般名 -グロン

上記の副交感神経系を抑える過活動膀胱治療薬は副作用が出現しやすいですが、選択的β3受容体作動薬は口渇、便秘などの副作用が出現しにくいです。交感神経系を抑える作用です。
ミラベグロン(ベタニス)
ビベグロン(べオーバ)

点眼薬

ドライアイ治療薬

効果として、レバミピド=ジクアホソルナトリウム>ヒアルロン酸とされています。一般用医薬品で防腐剤無添加のソフトサンティアもよく使用されます。
ヒアルロン酸Na(ヒアレイン)
ジクアホソルNa(ジクアス)
レバミピド(ムコスタ)

緑内障治療薬

眼圧をさげる機序は基本的に①房水産生抑制②房水流出促進(線維柱帯シュレム管経由)③房水流出促進(ぶどう膜強膜流路)④硝子体容積減少の4種であり、薬の種類によってどこに作用するかが異なります。

プロスタグランジン関連薬(-プロスト)

一般名 ープロスト
③に作用
最も強力な眼圧下降作用で一日一回点眼という利点から第一選択薬として使用されることが多いです。目の周りが黒くなるまつ毛が長くなるという副作用があるので点眼後きれいに拭くよう指導する必要があります。入浴や洗顔の前に点眼するよう指示が出ることもあります。
ラタノプロスト(キサラタン)
トラボプロスト(トラバタンズ)
タフルプロスト(タプロス)
ビマトプロスト(ルミガン)

β遮断薬(-ロール)

一般名 -ロール

①に作用
プロスタグランジン関連薬についでよく使用されます。
チモロール(チモプトール)
カルテオロール(ミケラン)
ベタキソロール(べトプティック)
ニプラジロール(ハイパジール、ニプラノロール)

炭酸脱水酵素阻害薬(-ゾラミド)

一般名 -ゾラミド

①に作用
副作用が少ない所が利点です。
ドルゾラミド(トルソプト)
ブリンゾラミド(エイゾプト)

α2刺激薬

③に作用
上記を使用しても眼圧が下がらない場合に追加されることが多いです。
ブリモニジン(アイファガン)

配合剤

上記点眼薬をそれぞれ使用すると、それぞれの点眼の間隔を5分ほど空ける必要がありアドヒアランスの低下につながります。患者の利便性向上とアドヒアランス向上のために多くの配合剤が存在します。上記のどの組み合わせか分かれば十分です。

プロスタグランジン関連薬+β遮断薬

ラタノプロスト・チモロール(ザラカム)
ラタノプロスト・カルテオロール(ミケルナ)
トラボプロスト・チモロール(デュオトラバ)
タフルプロスト・チモロール(タプコム)

炭酸脱水酵素阻害薬+β遮断薬

ドルゾラミド+チモロール(コソプト)
ブリンゾラミド+チモロール(アゾルガ)

抗アレルギー点眼薬(-スチン、-ジン)

一般名 ースチン、ージン
レボカバスチン(リボスチン)
オロパタジン(パタノール)
エピナスチン(アレジオン)

外用ステロイド

作用の強さを5段階の分類に分けてまとめられています。どのランクに属するかによって使い分けます。上から①strongest②very strong③strong④mild⑤weakです。strongestは化学療法での副作用にしか使わないイメージです。体の部位により吸収のしやすさが異なり、顔や股は吸収が良いので基本的にmild以下しか使いません。乳幼児では成人に使用するランクよりも1ランク低いものを使用します。軟膏はべたつきますが効果の持続性が高いです。クリームはべたつかず塗り心地が良いです。ローションは主に頭皮などに使用します。塗る量は軟膏・クリームなら人差し指の先端から第一関節までの量(これを1FTU:finger tip unitといいます)で両掌分です。ローションだと500円玉くらいの大きさで両掌分です。外用ステロイドは一般名がとても長いので省略します。

①strongest
デルモベート
ジフラール、ダイアコート

②very strong
フルメタ
アンテベート
リンデロンDP
マイザー
ネリゾナ など

③strong
エクラー
メサデルム
リンデロンV など

④mild
リドメックス
アルメタ
ロコイド
グリメサゾン
キンダベート など

⑤weak
プレドニゾロン

終わりに

いかがでしたでしょうか?一度で全て覚えることは不可能なので、忘れたらまたこの記事を見て復習していただければと思います。この記事をまとめながら僕自身も勉強になりました。次から次へと新しい薬が開発されるので覚えやすいグループの薬はこの記事に追加していこうと思っています。ご要望があれば修正・追加していきますのでコメントお願いします。

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